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  • 柳に燕模様小袖 (納戸縮緬地 染)
    • 日本染織
    • Japan


江戸時代後期 19世紀
丈151.5cm 裄62.0cm




納戸色の縮緬地に、模様は防染糊により白く染め抜いた白上げの小袖です。意匠形式はいわゆる江戸褄模様で、上・下前とともに、襟先から衽・前身頃の裾にかけて風に吹かれる柳を配しています。これは当時裾を曳いて着用したためで、袵の裏や裾回り部分にも模様がおかれています。褄先に幹をわずかに見せていますが樹の姿はうかがえず、むしろ風が小袖の前から後へと吹いて、柳がそよぐさまを巧みにとらえています。そして、納戸地の空には、小さな燕が飛んでいます。
日本の初夏の風物である柳に燕を、納戸地に白抜きで染め出し、しゃれた感覚でとらえられています。この模様からは、初夏の爽やかな風が想像されます。なお、模様を褄や裾回りに配する褄模様の形式は、宝暦から明和頃にかけて町方の小袖意匠として定着します。また寛政12年(1800)刊行の『新雛形 千歳袖』には、この小袖に似た傾向に模様を見ることができます。

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