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コレクション

  • 繻子地昆虫文様刺繍胴衣 (ジレ)
    • ヨーロッパ・アメリカ染織
    • Europe・America


イギリス
1790年頃
絹・亜麻(裏地)
61.0×45.2




18世紀後半に流行した上流階級の男性用のスーツは、「habit」(アビ=ジャケット)、「gilet」(ジレ=ベスト)、「culotte」(キュロット=膝丈パンツ)の組み合わせでした。この服装を「アビ・ア・ラ・フランセーズ」と呼びます。膝丈で裾広がりのシルエットが特徴のアビの前を開け、ジレを見せる着こなしが一般的でした。そのため、ジレの前身頃には華麗な装飾が施されます。イギリスで作られたこのジレには、トンボやバッタ、蜘蛛からカタツムリ、毛虫に至るまで、草むらの様々な虫たちが繊細な刺繍によって表現されています。この時代、刺繍は紳士服にこそ、その美しさを発揮した、とも言われるほどですが、ジレの前面を覆い尽くす昆虫モティーフは、楽しそうな遊び心に溢れていながら、不思議と知的な印象も醸し出しています。

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