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コレクション

  • 薊に蝶模様小袖 (紫杢目絞り縮緬地 絞り染・繍)
    • 日本染織
    • Japan


江戸時代後期(19世紀)
丈148.5cm 裄63.0cm




縮緬地に杢目絞りを地文とし、絞り残して紫に染められた部分を薊の葉と蝶にあて、花や茎は刺繍により表現されています。ギザギザとした薊の葉の特徴を表わすために、この杢目絞りは最適です。
模様の中心をなす薊は、茎が裾の中ほどから右腰へ、さらに左肩・右肩へとやわらかく弧を描くように伸びています。小袖全体に広がる薊の茎は、風にでもなびいているのでしょうか。この薊の茎を右身頃に寄せて立ち上がり小袖全体を覆い包むような構成は、江戸時代中期頃の小袖模様の特徴を示していますが、絞り染と刺繍の巧みな組み合わせによる模様表現は、さらに後の時代と考えます。この模様の印象を深くしている杢目絞りとは、平縫い引き締め絞りの一つです。布地を横幅一杯に一定の間隔を置いて段に平縫いし(次の段ではその縫い目を交互にする)、引き締めて防染するため、不規則な縦皺が染め出されています。この縦皺が杢目のように見えるので、この名があります。
この小袖は岡田三郎助が特に愛蔵した作品で、これをまとった裸婦の図「坐裸婦」が描かれています。

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